時事評論

生活保護で開き直るか

投稿日:2019年4月13日 更新日:

Yahoo!ニュースに驚くべき記事が載っていた。「親亡きあと、生活保護で何が悪い?~高齢ひきこもり」である。

この記事はまず産経新聞の記事に異論を唱えている。

政府の経済財政諮問会議で、民間議員が提言した「就職氷河期世代」の集中支援。バブル崩壊後の景気悪化で新卒時に希望の職に就けないままフリーターや無職となった若者たちは既に30代半ばから40代半ばに達し、自宅にひきこもるケースも少なくない。政府は3年間の集中プログラムを通じて就職氷河期世代を正規就労に結びつけ、高齢期の生活保護入りを阻止したい考えだ。

「ひきこもり多い氷河期世代…『生活保護入り』阻止へ早期対応」

就職氷河期世代は、たまたま新卒時に不景気だったために就職できず、フリーターや無職に人が多い。以後、教育投資もされず、スキルもないので生産性が低いままになっていたりする。こういう人たちに何とかして働いてもらい、生活保護入りを阻止しようという至極まっとうな提言である。

これに対して、田中俊英氏は「まだ『就労』させるか?」という小見出しで異議を唱えている。「引きこもり」などで就労できない人が数百万人もいるという。こういう人々に現金を給付するように予算を数兆円捻出せよとのことである。

ある意味、これだけ「がんばってきた」その元若者、現在60代の人の生計を支えるために、最強のセーフティーネットである生活保護を利用して何が悪い?

(「親亡きあと、生活保護で何が悪い?~高齢ひきこもり」)

ひきこもりの人々も同居の老親の家事を手伝うこともある。そのことを「ある意味、これだけ『がんばってきた』」と評価する。何らかの精神的・身体的障害を持った人ならばそうかもしれない。ハンディキャップがあれば洗濯するのも買い物に行くのも大変だろう。

しかし、数百万人の非就労者のすべてがこうした障害を持っているというのは乱暴な議論である。そして、同居の老親の家事を手伝いながら就労し納税している労働者が納めた税金から非就労者へ現金給付せよという。

田中氏は、非就労者と向き合いすぎて、正常な感覚が失われてしまったのではないか。

昔から「働かざる者喰うべからず」という。もちろん、これは食糧その他が十分になかった時代に生産性の高い人に優先的に分け前を与えて、さらに生産性を高めようという工夫だった。もっと頑張ればもっといい暮らしができるという意味で勤労へのインセンティブにもなっていた。

現代には食糧その他に余剰がある。「働かざる者」も喰っていい。「健康で文化的な最低限の生活」を送るのは権利である。

しかし、最低限は厳しく制限しておかないと勤労意欲が削がれる。どんな状態でも少しでも頑張れば報われるようにしておかないといけない。障害者の中にも働きたいという人は多くいらっしゃる。それは生き甲斐でもあろう。

生活保護予算4兆円プラスα(おそらく数兆円規模)を捻出するのが、まさに政府の仕事だろう。MMT(アベノミクスはMMTの実験だった)はそのために出てきた理論のようにも僕には思える。先日のステルス機の墜落も、防衛費を再構成するため(生活保護費を捻出するため)の機会かもしれない。

(「親亡きあと、生活保護で何が悪い?~高齢ひきこもり」)

消費税1%で約2兆円。ひきこもり支援のために使う消費増税2%が就労者の納得が得られるかどうか。年収500万円の家庭が400万円消費しているとして、8万円程度をひきこもり対策のために負担することになる。これは、ま、ささやかな家族旅行1回分である。異論のある人は結構いるのではないか。

F35の墜落に絡めて、生活保護費を捻出するために防衛予算を削る可能性に触れている点にいたっては近視眼的にすぎると評すべきだろう。MMTに言及した時点で経済について語る資格はない。

一点、検討に値するのは効果の薄い就労支援をやるくらいなら現金支給の方がマシだという議論である。就労支援の効果より就労支援の費用の方が本当に大きいのかどうかについてはデータの裏付けが必要だろう。

しかし、サポステ予算は140億円のオーダーである。兆円単位の現金支給という話とは桁が2つ違う。

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